【シリーズ:イメージリンク版 令和のいろはカルタ その壱 「残さずに食べて満足満腹」】
◆読み札:のこさずにたべてまんぞくまんぷく
◆伝統的ないろはカルタ:のどもとすぎればあつさわすれる
本シリーズの記念すべき第1回目は「の」で読み札は「残さずに食べて満足満腹」です。
「犬も歩けば〜」の「い」では当たり前過ぎますし、「あ」ではこの後の展開が面白くなくなりますから。
私たちを含めて、「人間」という生物は「万物の霊長」という看板を掲げて偉ぶってはいるものの、生命を維持するという観点からは全ての生き物と何ら変わりはないのです。ですから、「お腹いっぱい食べられれば幸せ」ということでの選出となりました。
伝統的ないろはカルタでは「の」の句は、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ですので、意図せずに飲食の用途を含むのは偶然とは言え、なかなか面白いことです。
ただ、困難な事柄でもそれが終われば忘れ去ってしまうというのと、その状態が長くは続かなくても幸せとしての記憶は残る、というのも対称的なことではあるのですが。できることならずっと幸せを続けたい。人は皆そう思うことでしょう。続かないのが幸せだということを知っているからこそ、それを尊ぶというのは先人たちからの伝統だと言えるかもしれません。
◆「ん」尽くし:のんのん
「ん」という言葉は日本語では文頭にくることは無いので、「カルタ」としてはそのままでは使えません。しりとり遊びでもご存知のはずですよね。もちろん、この「令和版」でもそのことを念頭に置いて既に選出はしてあります。でも何か物足りないような…。そうだ!、ならば「ん」尽くしという観点で言葉を選んでみようかなあ、と思い付きましたよ。落語でも同じようなネタが考えられていることですし。ゲーム性を高めるのならルールに工夫が付き物ですし、さらに韻を重ねて表現すれば美しい言葉選びも兼ねている。出てきた答えは「基本4文字で、『ん』の音を繰り返す」ということでした。
さらに川柳風の作品も付け足してみようか。それが上記の句となります。
日本語の表記は豊富で複雑。それに加えて流麗であることが尊ばれます。ただし「音」に関しては非常に多く見つかるものと、その反対のものも確かにあるのですね。この最初の第1回の「の」に関しては明らかに後者となります。これは迂闊でした。初っ端から躓いた形となってしまいましたからね。ですので、慎重に考えた結果も含まれているのです。
「のんのん」という言葉は確かに存在はしているのです。ただし、それは辞典的には言い廻しに過ぎず、微妙なところではあります。外国語では否定の繰り返しという意味になるようで面白くないしなあ。それなら語感を活かしての作業としようか。こうして誕生した経緯をご理解いただけたら幸いです。このように深い意味の無い場合もあるでしょうから、それもご了承いただきたいのです。
◆今日のひとこと:
「飽食に慣れてはいけない 後でツケが来る」
説明は不要でしょうが、要するに不平を言わずに感謝する心を忘れてはいけない、ということです。
世界は言うに及ばず、この日本でも満足に食事ができない人も少なからず存在することを考えれば、現在大きな問題となっている「食品ロス」も解決の方向に向かうでしょうから。過去の食糧難を何度も体験していても、それこそ「喉元」ではありませんが、辛いできごとを忘れたいという気持ちも理解はできます。しかし、現在の社会情勢がこれからも維持される保障はどこにもありませんからね。そうしたくないのなら、大きなことはできなくても、自分の身の回りくらいからなら始められるはず。
一緒に始められたら幸いですね。
最後に。「第零回」でも触れましたが、伝統的な考えを含むこのシリーズには多くの語句が登場します。ことわざや成句だけでなく、紹介した文章は性格上、他者が作成したものと似た表現や内容となったとしても、作業者が思考した文章であることを明記しておきます。「知恵は只ではない」ということを了承してください。
長丁場となる本シリーズの第壱回はここまでです。これからもよろしくお願いします。では、またお会いしましょう。