利用者ブログ - 10.21シリーズ:神戸と兵庫のご当地ソングたち


21世紀が始まる前は「来るべき新世紀はどんな素晴らしい時代なのかなあ」という希望を多くの人々が抱いていました。
新しい世紀が始ってもう20年。そしてその時点からちょうど同じ20年前にここ神戸で、当時としては画期的な人工島の完成を祝う式典として大きなイベントが開催されたことはご存知でしょうか?
ジャスト40年を記念して。今回はその博覧会のテーマソングとして選ばれた曲がテーマです。
既にこの地方博ブームの切っ掛けとなった博覧会については別の記事で紹介済みなので、今は曲紹介でいきましょう。

≪山を削り、海の上に人工島を造ろう≫

私たちの街・神戸は山と海に挟まれて旧市街地は東西に長く伸びています。戦前から開発が進められていて、戦後の復興期の区切りがついた頃には、大規模な開発の期待ができる土地はもうほとんど残されていませんでした。そうなると…。そうですね、海を埋め立てて新たな父を得ることが現実的な選択でした。
長い工期と巨額の建設費を費やして夢の人口島が完工したのを記念して、大規模な博覧会が開催されたことは説明済みです。それを盛り上げる手っ取り早い手法として誰しもが思いつくのは「テーマを決めて曲を作らせよう」となるでしょう。

≪成功の秘訣は英語の歌詞の時代だったことも≫

明確な説明がなされた記憶はありませんが、この大役を任されたのは当時人気絶頂のグループでした。複数の外国人をメンバーに含む彼らは巧みな英語力を活かして成功し、人気ドラマ、大人気となったアニメ映画のテーマソングを大ヒットさせた実績があり、これは適正な判断だったと思います。
これからは曲の素直な感想となります。


≪抽象的な表現は未来のキーワードか≫


曲が始まってしばらくは軽快なリズムが続きます。そして一転してスローテンポとなる。
英語のフレーズの歌詞が繰り返され、新しい人口島の輝かしい未来のイメージが積み重ねられます。
そして再びメロディが変わり、ここは平易な日本語で情感をぐっと盛り上げる。
結びは同じ流れの語句の歌詞が登場し、博覧会にふさわしいメッセージ性を聴衆へ与えてくれる…
というのが、この曲の内容だと思いました。




美辞麗句が並べられているわけはなく、具体的な地名も登場しない。しかし曲の多くの部分に耳触りの良い英語歌詞が繰り返され、国際性を強調することで未来を具現化させる。
このグループが成功した手法がここでも見事なまでに現わされていますよね。確かな時代性の証拠でしょう。


スローガンの羅列は主義主張の表現としての効果はあるでしょうが、落ち着いた時代の新しい感覚を求めていた人たちにとっては求める要素だったのでしょう。確かに1980年代はそれまでの無計画な成長から、スローダウンしても秩序ある成長へとその姿を変えつつありましたから。そのニーズをうまくつかんだのが彼らだったのですね。


ご当地ソングとして紹介するには相応しくない点が多いことも承知していますが、確かにこの神戸で開かれた大規模なイベントでしたので、40年を記念する良い機会だとも思い筆を取らせていただきました。でもこれも区切りに過ぎないので、未来から過去を振り返ることでより善き結果を導く姿勢を続けたいと思ってもいます。