利用者ブログ - 今日は何の日

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。漢字で書いてみると…。芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔、となります。普通の人なら、まあ書けないですし、まず読めませんよね。語呂合わせのように覚えた方も多いでしょうから、身近な野菜だと思われている人がこのご時世ならいるでしょうね。スーパーなどでも普通に売られていますし。しかしながら、「春の七草」は元々は野草でした。

スズナとスズシロはカブとダイコンですので野菜で間違いはないですし、セリも栽培種が野菜として売られていますから、かつての野草と野菜の区別は難しいのかもしれません。前述の呼び名を一般的なものにしたら、「ああ、あれはあれなのか」と思われる方も多いでしょう。
ナズナ → ぺんぺん草、ゴギョウ → ハハコグサ(母子草)、ハコベラ → ハコベ、ホトケノザ → コオニタビラコ(小鬼田平子)。ホトケノザについてはシソ科にも同名の植物がありますから、注意が必要です(シソ科のホトケノザは食用ではありません)けど、いずれにせよなじみが薄い呼び名だと思います。

月の満ち欠けを基本にした旧暦と現在の暦との差は一定ではありませんから、年によっては相当の差異が生じますが、元々は食物が乏しい季節にあってもたくましく生きようとする我々のご先祖様の知恵であったのは間違いはないでしょうね。これらの春先の恵みを楽しむ「七草粥」は粥だけあって、米粒を多く必要としないのも、その知恵の一部なのでしょう。

年末から、行事好きの日本人は何かと理由を見つけて飲み食いを続け、正月の三箇日を終える頃までご馳走三昧という方も多いでしょう。食材を選択できる機会が増えた現在では、体調に合わせた食事を摂取しやすくなりました。でも日本の古来からの伝統である「七草粥」はご先祖様からの贈り物として、疲れた胃袋を休ませる絶好の一品にしてはいかがでしょうか。

<七草粥>

用意するもの:
◆〔春の七草〕(上記を参照)/◆〔米〕1合/◆〔水〕(米の量の7〜10倍程度)/◆〔塩〕
<道具類>
◆〔鍋〕/◆〔蓋〕/◆〔ざる〕/◆〔ボウル〕/◆〔包丁〕/◆〔まな板〕/◆〔杓子〕/◆〔菜箸〕

調理方法

  1. カブとダイコンは皮をむいておく。残りの5種は水洗いしておく。
  2. カブとダイコンを鍋で軽く煮て、身が柔らかくなれば取り出し、水で冷やす。その残りの湯で5種をくぐらせ、冷水で洗った後に手で絞り、包丁で刻む。
  3. 分量の米を粥を作る鍋へ移し、手早く米を研ぐ。できればざるで水切りをし、しばらく置いておく。
  4. 鍋へ米を戻し、分量の水を加える。それが終われば最初は弱火で粥を作る。
  5. 鍋の淵へ菜箸を置き、蓋をする。鍋の水の温度が上がるにつれて米の状態が変わるので、確認しながら杓子でよくかき混ぜる。
  6. 一度、火加減を強めて米が柔らかくなったのを確認すると再び弱火へ。この時点で菜箸と蓋を外す。
  7. 粥ができるのを確認して火を完全に止める。それからカブとダイコンを入れ、残りの5種も加えてまんべんなくなるように粥をかき混ぜて、塩で味を整えてできあがり。

<まとめ>

  • 自分で春の七草を集めるのは大変。もし手に入れられるのなら、必ず植物図鑑などで確かめてください。特にセリとドクゼリ(猛毒!)とを誤認する事故が現実に発生しています。ですので、スーパーなどで売られているセットされたパックがとても便利です。
  • 緑の色を失わないように心掛けるのがコツです。
  • 粥を煮過ぎるとのり状になり風味も落ちるので、状態をこまめに確認するのが上手なやり方です。
  • 蓋をしないでも粥は作れますが、時間が余計にかかり、味も微妙に異なります。
  • 菜箸と蓋を使う際には火傷やケガに注意しましょう。
  • できたての粥は高温ですから、十分注意してください。
  • 粥自体は基本的な作り方ですので色々と応用できますから、覚えておいて損はありません。


安全に気を配れば比較的簡単に家庭でも作ますので、挑戦される価値はあるでしょう。
胃に優しい食べ物の代表として覚えていただけたら幸いです。

最後に。言うまでもありませんが「秋の七草」は食用として紹介されてはいませんよ。覚えるコツは「おすきなふくは」(お好きな服は?)ですね。オミナエシ(女郎花)、ススキ(薄)、キキョウ(桔梗)、ナデシコ(撫子)、フジバカマ(藤袴)、クズ(葛)、ハギ(萩)。それぞれの頭の一字を並べたものです。日本の秋を彩る可憐な花々ですよ。
因みに「夏の七草」と「冬の七草」というのもありますが、諸説あるので紹介は控えさせていただきます。興味を持たれたなら、どうぞご自身で検索してみてください。