【関西の春は「えべっさん」から】(十日戎)(1月10日)
正月は日本全国に同時に訪れます。しかしですね。私たちイメージリンク(IML)が所在する神戸を含む関西地方では、三箇日の一週間後にもう一度、お正月のようなお祭りが行われるのです。そう。「十日戎」ですね。私たち関西人は親しみを込めて、「えべっさん」と呼んでいます。三日間の祭礼期間は初日の9日が「宵えびす」10日が「本えびす」、そして最終日の11日が「残り福」と呼ばれ、一年間の幸せを願う善男善女が訪れる、関西の新春の最後を締めくくるのです。
十日戎は関西地方の多くの神社で行わる伝統行事ですが、有名な所では「今宮戎神社」(大阪府大阪市浪速区)と「西宮神社」(兵庫県西宮市)が挙げられますね。両社とも例年、百万人以上の参拝客が訪れる人気を誇っていますが、西宮神社は日本全国の「えびす神社」の総本社であり、参道や境内に多くので露店が出店し、大変な人気を誇っています。
行事は本当にたくさんあり、毎年大きなマグロが奉納されるのも有名ですが、やはり最高に盛り上がるのは「福男」を選ぶための競走になるでしょう。
毎年、本えびすが行われる10日の早朝6時に表大門が開かれ、本殿までの200メートル強の参道を足自慢の男たちが健脚を競う、という勇壮なレースです。参道は直線ではないためにさまざまなテクニックと駆け引きが必要とされ、脚力だけではなかなか勝つことができないというのも人々の興味を引く点ですね。全力疾走で本殿へ駆け込んだ者のうち一番から三番までが福男として認証されるので、客待ちの露天商からも声援が飛び、勝敗が決すると周囲の歓声がどっと起こり、その年の幸を皆が祝う神事です。とても壮観で勇壮ですね。
残念ながらコロナ禍により、今年はこの吉事は中止となりましたが、関西の人たちはこの伝統行事が早く復することを切実に願っています。来年以降は今まで通りに行えますように!
「西宮のえべっさん」は広大な敷地を占めていて、十日戎以外でも市民達に親しまれており、一年を通じて賑わっている神聖で厳かな場所です。近くへ来られる予定がおありなら、是非足を伸ばしてくださいね。
この他にも関西は「奈良のお水取り」や野球シーズンの到来を飾る「センバツ」(選抜高等学校野球大会)も控えています。コロナ禍で今年も微妙ですが、これらの年中行事が無事に行われることを願っていますよ。