利用者ブログ


今回は神戸市の中心地であり、事実上「神戸」である中央区のお話です。以前は「葺合区」と「生田区」という別の区でしたが、1980年(昭和五五)に珍しい自治体同士の「合区」として新たに誕生しました。

≪旧・葺合区と旧・生田区≫

灘区でも書かせていただきましたが、「神戸市」が誕生したのは市制が施行された1889年(明治二二)。灘区と同じく、1936年(昭和 六)には旧市内に7区が置かれました。この当時の区は現在の行政区画としての「区」とは異なって自治権を持たず、地域の呼称としての区でしたので、注意が必要です。
神戸市は、79年(明治十二)にはすでに置かれてた「神戸区」を中心に、新たに葺合村等を加えて誕生しました。そしてこの1936年には再び「神戸区」がこの「葺合区」と同時に設置されたのですから、当時を知らない人には分かりにくいですよね。

神戸は中世には平氏政権により「福原京」が置かれ、「大輪田泊」が日宋貿易の拠点として栄えた歴史はあるものの、近世の幕末の開港までは歴史の空白の時代でもあり、旧五国(厳密には七国)から成る「兵庫県」自体が複雑な経緯を経て誕生しているので、このような集合と離散を繰り返してきたのでしょうか。

「生田区」もその神戸区から生まれました。1945年(昭和二十)の終戦間際のことでしたから、相当逼迫した世相だったでしょう。この頃には神戸の旧市街の広い地区が米軍の空襲により焼け野原とされていたので、誕生と再建は苦難を伴いました。ただし、戦後は神戸港を含む神戸の重要な区域は進駐軍の管理に置かれたもののその後の復興は順調に進み、新たな街としての歩みを始めたのです。


≪二つの区から生まれた中央区≫


地元以外の人たちからすれば、神戸のイメージに結びつくのはやはりこの中央区だと思います。その神戸のイメージと言えば…まずはファッションですよね。そのファッションの中心地がこの中央区の中央部に在る大規模な商業施設に集中しています。洋服、バッグ、ジュエリー、靴、腕時計、アクセサリーにさまざまな小物まで。店頭には流行の商品が魅力的に飾られ、若い女性を中心にウインドーショッピングを楽しんでいる姿を本当によく見かけます。



次はグルメです。国際港湾都市は各国の文化の雑居地。ですのでその出身者が故郷の味を忘れないために店を出したのが神戸の伝統となっているのです。横浜の中華街に次ぐ規模を誇る「南京町」(登録商標)は中国各地の料理を楽しめ、フランス・イタリア・ドイツ・ロシア・トルコ・メキシコ・インド・ブラジル、それに近年ではアジア各国の店も増えてきました。本場韓国の味が楽しめる焼肉の名店もありますし。まさに「食のオリンピック」ですよね。
和食も決して負けていません。各種の名店がお客さんの舌を楽しませてくれています。
地場産業の日本酒の蔵は中央区には存在しませんが、神戸には灘の酒を楽しませてくれるお店も多く、ビールにワインにウイスキーにその他の酒を訪れる人に大人の嗜みを教えてくれる素敵な空間となっているのです。

女性の美にさらに磨きをかける美容室やエステ、その他の施設の店舗も軒を連ねていて、それぞれが技を競っています。


神戸が「真珠の街」であることはあまり知られていませんが、人工の真円真珠が開発されて輸出されるようになってから現在まで神戸は日本の商取引の中心地なのです。おしゃれな真珠もおしゃれな神戸に良く似合う素敵なアイテムですよね。
ビジネスも盛んで、多くの名の知られた企業が区の中心部に拠点を置き、多くの機能的なビルが建ち並ぶその姿は風光明媚な土地にいっそうの彩を加え、未来都市の名に恥じません。



交通も至便で、新幹線・鉄道・港湾・高速道路・主要国道・地下鉄・新交通、さらに空港も整備されていて多くのビジネスマンや観光客に愛用されています。
それに加えて、「布引の滝」のように古くから知られている景勝地もあり、自然の美と人造の日が仲良く、違和感なく調和しているのです。それが人口百万人代の大都市の中心部から散歩間隔で歩いていける距離に在るのですよ。素晴らしいではありませんか。
このように、中央区は「神戸そのもの」となっていることに間違いはありません。


≪中央区の緑の名所≫

中央区にも新生田川の桜並木があり、人工の河川に季節の訪れを告げてくれるのです。それに県庁のすぐ近くには神戸を代表する庭園である「相楽園」もあります。春はツツジ、秋にはキクの展覧会が開かれ、日本式の庭と北野から移築された洋館が和洋の美しさで訪れる人を迎えてくれるのです。先日の布引に加えて、掬星台(きんせいだい)から眺める神戸の市街の姿は最高の美しさです。山と海の距離が近いがゆえの絶景ですよね。緑の濃さも中央区の魅力と言えるのですよね。


≪さまざまなペチュニアの姿≫


いろんな意味で魅力に溢れる中央区の花は「ペチュニア」。少し意外ですよね。確かに多くの色に恵まれる可憐な花なのですが、人によっては華麗な花の代表であるバラやカトレアの方がふさわしいと言われる方もおられるかもしれません。ペチュニアは狭い場所でも繁茂させられる性質を持っているそうなので、マンション等が特に多い中央区には確かに似合う組み合わせだと言えるでしょうか。春から秋にかけて咲くその愛らしい姿は神戸の公共の場にも民家の軒先にもよく見られる花なのですね。



≪これからも神戸の中心として≫


この神戸の誕生の経緯は複雑でした。場所の名前も頻繁に変えられ、町の区画の変更も。そんな寄せ集めのようなスタートではあったものの、この神戸、特に中心地であるこの神戸は日本のどの都市にも負けない価値と美しさを兼ね備えているのです。神戸の誇りですよね。
現在、日本は多くの意味で変化を求められていてそれは我が街・神戸も例外ではありません。逆風がもっと加速するかもしれませんし。そんな中でも戦後の復興を成し遂げ、震災でも立ち直った神戸のシンボルがこの中央区と言えるのです。困難を克服すればそれが大きな力となる。
その象徴的な姿をこれからも見せてくれると私たち神戸市民は固く信じているのです。