【花の街・神戸番外編 その1 桜より美しいアーモンド(東灘区)】
春は四季の中でも一番華やかな季節です。多くの花々がそれぞれに課せらた時期につぼみを開き、我哀れの目を楽しませてくれるのです。春を代表する花はやっぱり桜ですよね。けれども。その桜よりも美しく咲き誇る花が、私たちイメージリンク(IML)が所在する神戸市の東灘区に存在するのは、意外と知られていません。今回はその美しい花を紹介させていただきます。
【桜より美しいアーモンド】
中学の英語の授業で、「花」には「フラワー」と「ブロッサム」という二つの単語があることを教わります。一般的な花卉(かき)が前者で、後者は樹木の花です。日本を代表する花である桜は当然ブロッサムとなります(日本の国花は桜と菊とされている)。
桜の名所は日本に数えきれないくらいあるのはご存知ですよね。これに対して今回の、桜よりも美しいこの花は満開の時季になっても取り沙汰されることは少ないようです。そこでより多くの方にこの「アーモンド」を知ってもらいたく思いました。
アーモンドは今日ではこの日本でも愛されるスナックになりました。チョコレートなどとも相性が良く、子供も好んで口にしますよね。その愛される種子の花がとても美しいのはイメージとしては知られてはいるかもしれません。これは人気のお菓子のデザインにも桃や桜のような美しい花が描かれていたので、「ああ、あれか」と思い浮かばれる方も居られるでしょうね。昔のコマーシャルでもアーモンドの収穫風景がテレビ画面に映されていたこともありましたから、外国の広大な農場に憧れを抱いたことも。そこが開花の時期になったのなら…。考えただけでも楽しいですよね。
この日本でもこのアーモンドが小規模ながら栽培されています。生産量としては輸入品とは比較になりませんが、定着しつつあるのは嬉しいことです。桃源郷さながらの光景でしょうね。でもそこへ訪れるのは簡単ではささそうなので、思案していると…。
ありました!。それもIMLと同じ東灘に。これはもう訪れるしかありません
≪食品工場群の中で静かに咲いているアーモンド≫
そのアーモンドは東灘区の深江の浜にある工区に咲いていました。そこは多くの食品工場が所在し、「こんな所で…」と思う方も居られるでしょう。そこはナッツを扱う会社の庭でした。土の薫りが漂う広大な農場ではなく、幹の数も控えめな場所ですが、確かに花を開いていました。本当に桜のような姿で、花の色はより濃いピンクの可憐なものでした。花が桜よりも大きなことも特徴でした。
この工場では桜よりも早く開花するアーモンドを「日本一早い花見」と称して満開の頃の週末には庭園を開放して花見の客を迎えてくれるイベントを毎年開催していました。
残念なことに昨年に引き続いて今年もこのイベントは中止になり、庭園も門が閉じられたままになっています。コロナ禍の中では止むを得ないですが、間近で見れないのはやっぱり残念なことでした。
工場の外から開いている花の姿をみることは制約はありませんので、花の時季は今年はもう遅いですけど、これからは実がなる姿を見ることができすです。
ただし現在は非公開なのと周辺には駐車場がありません(通常ならイベントの期間は周辺企業の協力で近くの敷地が駐車場用に解放され、ナッツ工場への無料の送迎バスが往復する)ので、その点は十分に注意してください。公共の足としては神戸市バスが運航していますが、基本工場地帯なので一つの系統だけの昼間の本数は本当に少なく、日祝は運休となりますので、その点はご了承ください。最寄りの駅は阪神深江駅ですが、こちらも距離が離れていて、往復の歩きには相当の覚悟が必要です。
この苦行を覚悟で行かれるにしても結構分かり辛いので、もし本当に行かれるなら十分な下調べをすることが必要です。特に工業地帯は歩行者視点では作られていませんので、一区画違えただけでも相当の距離の差となりますので。いずれにせよ、業者の方々の業務の妨げにならないように十分に留意してくださいね。思わぬトラブルの元となり得るので、必ず守ってください。
≪美しいアーモンド並木≫
この他にも東灘区にはアーモンド並木があります。こちらも工業地の近くなので、交通の便は良くありません。つくづく残念なことです。こちらも毎年3月下旬には隣接する「下水処理場」の紹介を兼ねたイベントが開催されるのですが、やはりコロナの影響で今年は中止となりました。アーモンド並木は処理場の敷地外なので周辺からの見物はできます。ただし、現時点では津波対策のために周辺の整備が行われている関係で、通路の開放は限定されてますので行かれるのなら注意してください。こちらも来客用の駐車場はありませんし、市バスの便も悪いです。花の季節だけでも利便をはかってくれることに期待したですね。
コロナ禍が終了したら、美しい並木を見るために出かけたいですよ。終息が待ち遠しくてたまりません。
≪おまけの話≫
以上でアーモンドの花に関する記述は終わりです。興味を持っていただけたら嬉しいです。本当に桜に似た美しい花なので多くの人にもっと知ってもらいたいです。
私たちの比較にもこのアーモンドに関することが潜んでいるのです。現在では名称が変えられてしまいましたが「扁桃腺」をご存知ですよね。解剖学的には「腺」とはされなくなったので単に「扁桃」とされました。アーモンドの種子を扁桃とも呼び、その形に似ているのに因んだそうです。人体にもアーモンドに由来する部分があるのも雑学のネタ的には面白いな、と思いました。
中華料理のデザートで出てくる「杏仁豆腐」があります。「杏仁」はアンズ類の仁(種子の中身の部分)のことでアーモンドエッセンスで風味付けされることが多く、ここでもアーモンドが意外な所で関係しているという、役には立たない話ですが、書かせていただきました。
記事の内容から見たら並木の方を優先させるべきだったかもしれませんが、昭和の終わりの頃から彼の工場は独自の力でアーモンドの花を普及していただいた功績を考えて先に紹介させていただきました。その地道な努力に感謝します。
アーモンドの花もその苗が観賞用の物が園芸品店で並ぶようになりました。こうした静かなブームを定着さえてくれた人々に対する想いも忘れたくはありません。皆さんも考えて下さいね。皆でアーモンドを育てて、花見に行きませょうよ。楽しみです。